2011年11月15日
某月某日
げんこつ団が誕生して、20年というほとんど恐るべき年月が流れている。
しかし何度も公演に出演してきた団員さえ、小屋入りの前日には緊張と興奮で寝付けないという、驚きの「チルディ」、childishぶりがツイッター等のつぶやきで確認されている。
渦中の小屋、下北沢駅前劇場へ潜入した。
本公演の会場は、その名に違わず下北沢駅の南口を出てすぐ左手、駅の目前に位置する。方向音痴派の方々にも安心の立地だ。
観客の皆さんにご入場いただく前の劇場内は、静かではあるがさながら戦場である。
各専門スタッフが忙しく働く中、広報の筆者は右往左往するのみ。
出演者である春原は工作隊長の役割も果たし、作成した各道具は彼女のにこやかかつ厳しいチェックに晒される。こういう時、映像等の裏方スタッフが意外な能力を発揮し、色塗り等に活躍することがあり、頼もしい。
筆者もなけなしの労力を費やし、小道具作りの一助となろうとするも、天性の不器用ぶりが発揮され、出来上がった用途不明の物体を手にうなだれるのであった。
その間にも音響と照明のチェックが細かく行われ、場当たりの用意が進んでいく。
会場に入るのは初めてにもかかわらず、それと感じさせない演技と流れを見せる役者、進行スタッフたち。
また何より、お馴染みでありながら常に斬新なげんこつ団の世界が少しずつ繰り広げられていき、観ている側は、とにかく楽しい!
出番でない時も、ストレッチに余念がない池田玲子
何をしているのかは定かでないが、山本結香
用途不明物の完成に落ち込んでいた筆者は、音楽を耳にした途端、一気に気持ちが蘇り、自分でも驚いてしまった。
先ほどまでの喧騒が嘘のように、劇はスムーズな進行を見せる。まるで何度もその場で上演されてきたものようだ。
この舞台の完成形というものがもしあれば、それを早く観たい!
スタッフをして強くそう思わせる、思わず笑わせる、そんな場当たりであった。
それでも吉田も団員たちも、まだ決して満足も安堵もしていない。
開幕は明後日。それまでに何がどうなる、『チルディズム』。タイトルの通り冷凍と、しかし充分に熱い気配、それに何やら不気味な「大人」と「子供」のせめぎ合い、混ざり合いを感じさせながら、夜遅くまで作業は続いた。
(広報:U田)
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